遠藤和也の“ひふみ”blog

食に関する「ひふみ」を解決していくblogです。そもそもひふみとは「非・不・未」のことで、非効率や非合理的、不安や不便、未完や未熟などのことです。 プロの料理人も一般の方も、料理や食に興味のある人なら為になる内容となっています。

皿の上だけで勝負しない【付加価値の付け方】

 

 

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飲食店の料理は美味しくないものがなくなったと言われるようになって久しいです。

それでも美味しいと言われるお店と美味しいとはなかなか言われないお店が存在することも事実です。

 

この記事では美味しい料理を出しているけど

『美味しいお店』ではないお店が『美味しいお店』となる方法のヒントを述べていたいと思います。

今回は、出している料理は美味しいお店という前提で進めていきます。

 

目次

 

 

味のベースは古典に学べ

 

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付加価値の前に単に『味』ということにフォーカスしてみると

特に若い料理人は奇をてらったような、

ジャンクというかいわゆる良い意味ではない現代的な味を作りたいと思う人も一定数います。

古典というと固いイメージを持つ人もいるかと思いますが、

要は名前が付いている料理です。広義としてここでは家庭料理も含めます。

  • 唐揚げ
  • 味噌汁
  • 肉じゃが
  • 筑前
  • すき焼き
  • ガパオライス
  • パエリア
  • タコス
  • キッシュロレーヌ
  • カスレ

挙げればキリがないのですが、古典料理は特に日本料理なんかはDNAレベルで

『美味しい』がインプットされているのでベースの味は古典から引っ張ってくるのが良いと思うし、味に飽きられにくいです。

 

では、付加価値の話に行きましょう。

 

 

ストーリー

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これは言うまでもないですが、超大事な要素です。

現代人は舌ではなく脳で料理を味わっているなんて揶揄もあるぐらいですし、

一定レベルで事実です。

例えば、同じレタスでサラダを作ったとしても

群馬県産のレタスのサラダです」

よりも

群馬県の遠藤さんが作ったレタスのサラダです。先日畑の見学してきたんですよ」

の方が美味しく感じるもんです。

ここでの必要な具体的アクションは

①食材の知識を深掘りすること

こんな味がする、こんな香りがあるとかはもちろんのこと

生産者の方の情報や一般的な調理法

栄養素なんかんも知っておいた方がいいです。

②その料理の作り方と思いを理解する

細かい調理法はもちろん、

どこから着想を得たのか

お店ならではのこだわりを知っておきましょう。

③食べてもらってどんな気持ちになってもらいたいのかを考える

この料理を食べてもらったら

贅沢で幸せな気持ちになってもらいたい

明日人に自慢したくなる

ほっこりする

など。

気持ちっていうとイメージしにくい場合は“会話”にフォーカスしましょう。

「ここのポテサラあったかいんだね。めずらしいよね」

「こんな豪快な刺し盛り初めて見た」

「今日食べた唐揚げ今までで一番美味しかったね」

会話にフォーカスするともっとわかりやすいかもしれません。

 

 

情報の提供の比率

ここ、重要ポイントです。

ありがちなのがメニューをオススメするときに

自分の持っている情報をお客様に全部伝えようとしちゃうこと。

よくないし、センスないです。

手順はこんな感じ。あくまでもイメージですが。

①オススメするときに10〜20%

②提供時に10〜20%

③感想聞くときに30%ぐらい

 温かいポテトサラダで具体例出しときます。

①オススメ時

「当店の名物のポテトサラダは出来立てで温かい状態でお出しします。

お客様の90%以上の方がお召し上がりいただく当店の看板商品です。」

②提供時

「出来立てで温かいので冷めないうちにお召し上がりください。

色々な具材が入っていますので食感も楽しめると思います。」

③感想お伺い時

「何が入っているかわかりました?実は、いぶりがっこ鮭とばが入っているんです。

隠し味がありまして、なんだかわかります?次回来てくれたときにお教えしますね(笑)」

みたいな感じです。

最初から持ってる情報を伝えちゃうのは

付加価値を創出する上では実はもったいない行為です。

 

 

演出

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演出というとやや大げさですが、厨房内での最後の仕上げをテーブルの上でやることが演出になります。

  • バーナーで仕上げる
  • チーズを削る
  • ネギをかける
  • あんかけをかける
  • 藁で燻す

もうこれだけで十分です。

『卓上仕上げ』商品はいつもの美味しい料理をキラー商品に簡単に昇華させてくれます。 

 

 

香りと刺激

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ごく普通の豆腐の味噌汁をイメージしてください。

香りだけでジャンルが変わります。

オリーブオイル→イタリアン

ごま油→中華

ナンプラ&パクチー→タイ料理

また、刺激とは

  • 辛味
  • 酸味
  • 苦味

を指します。

辛味は痛覚。

酸味、苦味は自然界においては腐敗や毒のシグナルです。

でもこれを使いこなすことで料理の味レベルは爆上がりします。

山椒、唐辛子、ビネガー、梅、肝、レモンの皮、焦げ

ここを使いこなせたら最強かなと思います。

 

 

ということで今回は付加価値について述べてきました。

美味しい料理はありふれています。

でも、アイデアひとつ、ポイントひとつで価値は爆上がりします。

美味しい料理で勝負する時代ではありません。

価値を売りましょう。今は。

 

ただし、あと数年で本質の時代になります。

本当に【美味しい】を目指すためにも、

今は付加価値爆盛りでこのコロナの難局を乗り越えていきましょう。

 

 

ではまた!